任天堂の元社長、岩田聡さんのことばをまとめた本「岩田さん」を読みました。思っていたよりもずっと変な人だったということがわかりました。
根っからのプログラマー
人を支えるのが好きで、物事を「わかる」のが好きで、そのためのコミュニケーションが好きで。
P207より
岩田さんは、わからないことを放っておけない、わかるまでやめない。物事をうまい方向に運んで、まわりを喜ばせることに何よりも喜びを感じる人だったそうです。
読めばわかりますが、とても真似できるレベルではないです。やっぱり岩田さんは天才というか、良い意味で変な人だったんだと思いました。
合理的で効率よく物事を解決する、根っからのプログラマー。合理主義も度がすぎると冷酷になりがちですが、彼が誰からも親しまれたのは、きっと関わる人の気持ちもうまく運ぶことを考えていたからでしょう。スティーブ・ジョブズとは違いますね。
野暮な人格者
岩田さんは宮本茂さんや糸井重里さんといったクリエイターとの会話をものすごく楽しみにしている人でした。自分の予測を超えてくる意見をすごく嬉しそうに受け止めていたようです。
宮本さんも糸井さんも口を揃えて、岩田さんを友だちと言っています。ビジネス上のつきあいから始まったのに友だちと言わせてしまうのも岩田さんの才能です。
本人にもそう言ったことがあるんだけど、いいところとして注釈しながら言うと、岩田さんって「野暮」なんですよ(笑)。でも、その野暮さがすごくいいんです。これは、岩田さんに会った人なら同意してくれると思うなぁ。
P202より
あいつに言ってもわからないとか、あいつの考えにはついていけないとか思っちゃうことってありますよね。そういうもんだって諦めちゃいますよね。でも岩田さんは「わかりたくて」歩み寄るんです。人徳のなせる技とはいえ、見習いたいところですよね。
「社長が訊く」に出たかった
ゲームに関わる仕事をしている人で「社長が訊く」に出るのを目標にしていた人は少なくないと思います。自分もその一人です。しかしそれは叶わない夢になってしまいました。一度でいいから会って話してみたかったです。
新卒でゲーム会社に就職したくて、たくさんの説明会に参加したんですが(結局はぜんぶダメでしたが)その中には当時、岩田さんがいたHAL研究所もありました。
おぼろげな記憶ですが、なんとなく恰幅の良い人が微笑みながら会社を説明してくれて、それがどのゲーム会社よりも印象が良くて、かなり前のめりになったんですが、勤務地が山梨という理由で諦めてしまいました。
思い返すとあれって岩田さんだったんじゃないかな、そうだったらいいなあと思っています。
朝の連続テレビ小説にしてほしい
最近の朝ドラは偉業を成し遂げた人の生涯を描くパターンが続いてますよね。岩田さんをモデルにした朝ドラがあっても不思議ではないです。
ヒューレッドパッカードの電卓でプログラミングしていた頃から、受託でファミコンのゲームをいくつも手がけて、15億円もの負債をかかえた会社の社長になって、MOTHER2や星のカービィ、スマブラなど数々の名作に携わって、任天堂の社長となり、DSやWiiを世に出すまでを描いたらものすごくドラマチックだと思うんです。
岩田さんだけなく任天堂の歴史を描くなら大河ドラマでも良いぐらいですよね。ちなみにNHKの受信料は払ってます。よろしくおねがいします。