マンション耐震強度偽造問題。自分にとってはタイムリーな事件でした。父親が建築関係の仕事をしているので、今回の出来事について聞いてみました。やはり業界もびっくりするぐらい信じられない出来事だったようです。 あれだけ鉄筋を減らしたりしたら現場レベルで気づいてもいいのではないかという意見も聞きますが、経験豊富な監督レベルを除けば、設計書を疑う人はまずいないそうです。設計書通りに間違いなく作ることが彼らの仕事なので、設計書は正しいという前提で作業をしています。つまり、それぐらい構造計算をする人は信用されているそうです。
この出来事がなぜタイムリーかというと、マンションの購入を検討していたからです。
住んでいた賃貸の更新がせまってきたのがマンション探しの動機となりました。賃貸の場合、いくら家賃を払い続けても自分の資産にはなりませんし、所詮は借り物ですから今ひとつ愛着もわきません。同じお金を払い続けるのなら、なるべく早くローンを組んで購入してしまった方が後々楽なのではないかと考えるようになりました。早く返し終わればその物件を貸したりして、また新しい住まいに移るという選択肢も出てきます。
さっそく今まで全く意識していなかったマンションのパンフレットを読み漁りましたが、残念ながら良いと思えるものがありませんでした。最近のマンションの無機質な雰囲気や、無駄に広いリビングがどうも好きになれないのです。パンフレットには必ずと言っていいほど大きなテレビとソファ、いわゆるホームシアターの写真が載っていましたが、そのようなリッチで馴染みのない暮らし方は望んでいません。それに、どうしても生まれ育った吉祥寺に住みたかったので、予算上、新築は非現実的でした。こうして半ば必然的に中古物件を探すことになりました。
日本では、住居購入で中古を選ぶ割合は全体のわずか11%だそうです。地震のことを考えると新しく丈夫な方がいいと思いますが、それ以上に「あたらしもの好き」という国民性も関係あるのではないでしょうか。古い建物を壊して新たに建てるということが繰り返されていますが、そのせいで、古きよき風景も失われつつあるのが現状です。自分の幼い頃に慣れ親しんだ風景が消えていくのは悲しいものですね。
実際にいくつかの中古マンションを見てまわりました。予算が限られているので、中にはおかしな物件もありました。リビングになぜか大きな換気扇が付いているものや、4年間も放置状態だったものもありました。その中で1つ、いい意味で個性的なものがありました。そしてそこは夫婦の心を捉えて離さなかったのです。
つづく