「ファミコン探偵倶楽部 笑み男」を5章まで終えたところでのネタバレなしのプレイレビューです。買おうか迷われている方の参考になれば幸いです。
そんなに怖くない
本作は最初のティーザーがホラーめいていたのでエグいシーンやドッキリ演出があるのかなと思っていましたが、今のところはそういう類いの怖さはありません。むしろ過去作よりも穏やか。
開発者のインタビューで「もうちょっとあか抜けさせたい、湿度を下げたい」と語られているように、深まる謎に不穏な気配を感じつつも、あからさまなおどろおどろしさはなく、ミステリーとして楽しめる雰囲気を保っています。
画面の明るさやアニメテイストもあいまって、現代っ子もすんなりと受け入れられる内容になっているなあと思いました。
過去作は知らなくて大丈夫
たまに過去作とのつながりを感じさせる場面はありますが、あくまでシリーズファンに向けたおまけぐらいの頻度であって、知らなくても問題なく楽しめます。
でも本作が楽しめたらぜひ、過去作も遊んでみてください!ファンが増えたらまた新作が遊べるかもしれないですもんね。
ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者・うしろに立つ少女(Amazon)
シリーズ最高に遊びやすい
文章を読むのが苦手な自分がなぜファミ探には夢中になれるのか、本作を遊んで新たに気づきました。それは「文章が短く区切られている」ということです。
プレイヤーの入力に対する回答が短く区切られているので、プレイヤーは介入する頻度が増えます。だから没入感が高まるのだと思いました。
容量の制限があったファミコン時代はそもそも長い文章を扱えなかったから結果的に読みやすくなっていましたが、最新作でもそのさじ加減を維持してくれているのはありがたいです。
本作の新たな工夫として、重要な発言が赤くハイライトされます。これによって次に選択すべきコマンドがわかりやすくなっています。
カーソルを移動して調べるときも情報がある箇所は名称が表示されるので、闇雲に調べていた過去作よりも格段にわかりやすくなりました。
また、捜査を進めると自動的にメモが残されるので便利です。このメモを「推理する」ときに使うこともあってゲーム性が増しています。
コマンド選択式アドベンチャーの最大の欠点、それはつまづくと総当たりになりがちなところ。しかし本作は明らかに会話の続きがあるときはわざわざコマンドを選択させませんし、困ったときは「考える」を選ぶことでヒントがもらえます。
つまづきづらく、やらされている感もなく、自然にのめり込む。シリーズ史上最高、そしてテキストアドベンチャー史上類を見ないほど、遊びやすいものになっていると感じました。
唯一気になったのはBGM。長い尺で聴くには少々、存在感がありすぎる曲がいくつかあります。フルボイスだし、環境音や効果音も充実しているので、もう少し使う場面を絞っても良いかなと思いました。設定で音量を0にもできるんですが、それはそれでもったいないんですよねー。
けっこう笑える
上記のとおり、あか抜けて遊びやすくなっている本作。それを押し上げているのがコミカルな登場人物との会話です。声優さんのうまさもあって思わず笑ってしまうシーンが何度かありました。
ゲームにおけるユーモアは少しでもズレてしまうと作品の評価を損なう場合がありますし、自分もスベるぐらいなら入れないで欲しいと思う派ですが、フルボイスで面白いセリフが絶妙な間合いで読み上げられるとさすがに笑ってしまいます。
自分は1作目「消えた後継者」のじめっとした世界観でファンになったので、順を追うごとに軽快なムードになっていくことにやや否定的だったんですが、深刻なストーリーにちょっとしたユーモアが入ると、深刻さがより際立つというか、良い緩急になるんだなあと本作で学びました。「うしろに立つ少女」のひとみちゃんって大切な存在だったんだ。
どんどん進めたくなる
まだ5章を終えたところですが、第一印象を残しておきたくて記事を書きました。クリアしたらまた印象が変わるかもしれませんが、今のところは高評価です!
「笑み男」というセントラルクエスチョンがとても魅力的な上、遊びやすさと軽快な会話によって、どんどん先に進めたくなります。
2021年のリメイク版と比べても、ビジュアルや演出はさらにパワーアップしていますし、推理のバリエーションも増えています。過去のフォーマットに留まらず、新しい体験がちゃんと入っていて、さすが新作だなあと思いました。
皆様ぜひ、この機会に最高峰のテキストアドベンチャーを体験しましょう!
ファミコン探偵俱楽部 笑み男 COLLECTOR’S EDITION(Amazon)