祝「釣りスタワールドツアー」発売!レビューもしつつ、これを機会に釣り★スタの開発裏話を書かせていただきます。
とてつもなくうれしい!
2007年にリリースされた世界初のモバイルソーシャルゲーム「釣り★スタ」が長年の時を経てついにNintendo Switchにも登場!
ガラケー向けに作られたゲームが今も続いているだけでもすごいのに、ついにはSwitchで遊べるんですから、初期開発メンバーの自分にとっては感無量な出来事です。実現してくださった皆様、ここまで開発や運営に携わったすべての皆様に厚く御礼申し上げます。
まさかの正統派の釣りゲー
ソシャゲとして激しく変貌を遂げてきた釣り★スタですが、Switch版は正統派の釣りゲームとして誰もが楽しめるものになっています。
まず驚いたのが釣り場の美しさ。水の揺らめきを見ているだけで癒されます。
ものすごいクオリティの魚たち。昔は160ピクセルのGIF画像だったのに。
BGMをOFFにすると環境音だけになって癒し効果倍増。本物の釣りみたいになります。
わかりやすくて親切
ミッションを達成すると新しい釣り場が解放されます。
そして釣り具も解放されます。何度使っても壊れません。
魚ごとに釣りやすいルアーがナビゲートされます。攻略も捗りますね。
魚は180種以上。こういうのを見るとぜんぶ星4つにしたくなります。
複数の操作法を用意していて、どれも快適です。Nintendo LaboのつりToy-Conにも対応しているミニゲームもあります。Toy-Conは家がせまくて捨てちゃったんです。残念。
ナミちゃんが仕上がってる
案内人のナミちゃんがグローバルに受けそうな顔立ち、露出度に調整されていてステキです。
事あるごとに変化してきたナミちゃん。最初のはATMでお辞儀してそうですね。
ボス魚に挑戦してみた
各ワールドの最後の釣り場にはボス魚が待っています。戦いを動画にしました。
ふつうの魚の5倍ぐらい大変でした。チャンスサークルの爽快感がハンパない!
すごい色。ナミタロウっていうか、本家釣り★スタの「将軍」みたい。
ソシャゲのソの字も感じない安心ゲーム
釣りスタワールドツアー、ひいき目抜きでハマりました。ソシャゲ会社が作ったとは思えないほどルールと操作がわかりやすいので、ちびっ子から釣り好きのおじいちゃんまで誰でも遊べると思いました。短い時間でサクッと遊べていつでも中断できるところも良いです。水辺で癒されたい人にもオススメです。
ついでにスマホの方もやってみた
数年ぶりに本家の釣り★スタを起動したらカオスすぎてそっ閉じ。長く運営するとだいたいこうなりますよね。
LINEで遊べる「釣り★スタ QUICK」はシンプルでわかりやすかったです。今から始めるならこっちが良いかも。
的当てになった理由
ワールドツアーでは「チャンスサークル」という名前になってますが、釣り★スタの釣りが的当てのようなインターフェースになった理由をこの機会にお伝えします。
理由1:低スペックなガラケーのせい
2007年頃のガラケーは描画が著しく遅いものが少なくありませんでした。そんな機種で音ゲーのような1次元(直線)のタイミングゲームをやると目押しが簡単にできてしまうので、2次元(平面)上を不規則に動かすことにしました。
理由2:魚に注目させたかった
糸の張りを表すゲージとにらめっこするような釣りゲームが個人的に楽しめなかったので、魚そのものに注目させたくて的当てのアイデアに至りました。
魚影のかたち
楕円と三角でできた魚影は、尾びれを動かせば魚に見える最もシンプルなものにしました。抽象的な方がシルエットが違う魚が釣れても脳内補完しやすく、容量、描画においても好都合でした。魚影の単一化については「どうぶつの森」の釣りにもインスパイアされました。
今の釣り★スタは当時から変わってしまったところもあるかもしれません。そりゃあ、11年も経てば変わりますよね。自分は相変わらずですけど。
海釣りの試作品
自宅のPCに海釣りの試作品が残っていたので動画にしました。当時チームメンバーを驚かせたくて家でこそこそ作ってたんです。
まだ負荷を考慮していなかったようで、魚がたくさん泳いでます。海底の岩と空の雲を色変えして使い回しているのは、空の雲と草の形を色変えして容量削減していたスーパーマリオへのオマージュです。
何者でもなかった自分を育てたゲーム
リリースした後も、魚図鑑を読み漁ったり、イベントを考案したり、不具合のお詫び文を書いたり、弁護士事務所にいったり、書ききれないほどいろんな経験をさせてもらいました。
趣味でゲームを作っていただけの自分にチャンスをくれた吉田大成さん(現・株式会社エブリー社長)には本当に感謝しています。彼のおかげで今の人生があるといっても過言ではありません。もっといい人生だったかもしれませんが。
釣り★スタにまつわるエピソードは事欠きませんが、キリがないので最後に大成さんのエピソードをひとつだけ。
2000円のアイテム
アイテムの価格を決めるとき、一番すごい釣り竿の値段を2000G(約2000円)に決めたのは大成さんです。携帯ゲームにそんなにお金を出す人なんかいるもんかと自分は呆れてしまい、彼をからかうつもりで竿の説明文に「竿職人・鯛正(たいせい)の名作」と入れました。
しかしその竿は売れました。ソシャゲ時代の幕開けを目撃しました。
この竿一本ぶんのお金にちょっと足すだけでSwitch版が買えます。なんだかお買い得に思えてくるのは自分だけでしょうか。釣り★スタを遊んだことがある人も過去に思いを馳せながら遊んでみてはいかがでしょうか。