据え置きゲーム機をスマホのように持ち出すというアプローチは安易だと思いました。
3DSと比べて、Switchには2つのコントローラーがあり、他人とすぐに遊べる魅力はあります。でもそんなテンションは最初だけで、すぐにひとり遊びになり、持ち歩くのも面倒になり、スーパーマリオランで満足する自分が目に浮かびます。
例によってハンドルや体重計のような様々なインターフェースと新しい体験を提供していくと思いますが、そういったアイテムが充実するほど、持ち出すのが億劫になることも想像できます。
持ち出して友だちとワイワイプレイする、性善説に基づいた今回の動画には、スマホ以上の体験を予感させるシーンはなく、3DSにおける3D表示程度の一発ネタに見えます。ただし今回の一発ネタはハードのスペックに影響を与えているぶん、さらに懐疑的になります。
Joy-Conのアイデアは、中止が発表されたGoogleのProject Araを想起させます。物理的な拡張はモノが増えるので好きではないし、小さいのでなくしてしまいそうです。
据え置きゲーム機を外でもできるようにしてみたけど、やっぱり据え置きは据え置くよね、という結末が待っているとすると、いつものようにスペック競争で打ち負かされ、独特な仕様を活用できないサードパーティに敬遠されるパターンに陥ってしまうのではないでしょうか。
そもそも個々人で端末を持っているなら、わざわざ持ち出さずにネットを介せば良いし、一部の人しか持っていなかったら、大画面でプレイするためにDockがある家に集まる。今までの据え置きゲーム機と同じです。動画のオシャレさに惑わされますが、コミュニケーションの再定義はできていないように思いました。
結局のところ、価格とソフトのラインナップ次第で普及する可能性は秘めていますが、スマホやタブレットにコントローラーさえあれば同じコンテンツが楽しめるのならそれで良いと思ってしまいます。逆に言えばハード自体の魅力はほとんど感じられませんでした。
こんなモヤモヤするゲーム機より、子供にも持たせられる落としても壊れないスマホを作ってくれていたら、今回の動画に電話やチャットをするシーンが3秒でも含まれていたら、株価は跳ね上がっていたかもしれません。
安易ですけど。