遅ればせながら「吉祥寺 消えた街角」を読みました。写真集ですから見ましたというのが正解でしょうか。自分の住む街を何十年にも渡って撮影し続けてくれた方がいて本当にラッキーでした。 撮影者の土屋恂さんが元鉄道マンだったからでしょうか、井の頭線の開通や中央線の高架化による街の発展の過程がよくわかります。大変まめなことに、撮影した場所を方角付きで地図上に記してありました。
SimCityというゲームをご存知の方ならわかると思いますが、鉄道を引いてから街が徐々に発展していく様子はまさにゲームそのものです。現在JR中央線の高架化工事が行われている街も、数年後には大きく変わっているかもしれません。沿線にお住まいの方は今のうちに自分の街を撮影しておくと、数十年後には本として出版されるかもしれませんよ。
この本には吉祥寺周辺だけでなく、後半数ページにわたって渋谷駅や東京駅などの写真もあります。とくに渋谷の写真には驚きました。今ではシンボルになっている駅前交差点にも民家が建ち並んでいて、のどかな田舎町といった様子です。以前お会いした方が「渋谷は完全に街づくりを失敗したよね。」とおっしゃっていたことを思い出し、今になっていたく共感しています。ちなみにあのひばり号の雄姿もご覧いただけます。
写真は本当に面白いですね。本にも記述がありましたが、何気のない見慣れた風景が、何十年も経てば大変価値のあるものになるのです。見慣れた風景を大切にしましょう。