ミュージカル「ジキル&ハイド」を観て来ました。物語をうろ覚えだったせいか、純粋にのめり込んで楽しむことができました。 ジキル&ハイドと聞いて最初に思い出すのがファミコンの「ジーキル博士の彷魔が刻」というクソゲーである根っからのファミコン世代ですが、ファミコンバブル時に作られたはちゃめちゃなゲームとは違って、さすが舞台はスケールも感動も大きかったです。今回やっと物語を知ることができたのですが、悲しい結末に涙が出そうになりました。実際、前に座っていたおばさんはボロボロ泣いていました。
あくなき研究心から薬を飲んでしまい、悪魔のような人格へ変わってしまうジキル。今でこそ二重人格を題材にした物語は山ほどありますが、これこそ元祖ではないでしょうか。主演の鹿賀丈史さんはさすがの存在感で、主役を完全に自分のものにしているといった印象で、「良鹿賀&悪鹿賀」というタイトルでもいいぐらい強烈でした。とくにハイドになってからは本領発揮といわんばかりの怪演で、本当に恐いです。知念里奈さんが妊娠ということで急遽代理を務めたエマ役の鈴木蘭々さんが想像以上に見事に歌っているのにも驚きましたが、一番驚いたのはルーシー役のマルシアさんのすばらしい歌声とコスチュームです。最後のカーテンコールでは主役の鹿賀さんと同じぐらい大きな拍手を受けていました。
今回座席が端だったこともあり楽団の演奏がよく見えたのですが、指揮者って格好良いなとあらためて思いました。演奏はもちろん、セットも大変立派で、これを生でやり遂げてしまうのだからミュージカルは本当にすばらしいです。
最近まで偶然にもジキル&ハイドのような二重人格を題材にした小説を読んでいました。東野圭吾さんの「変身」です。不慮の事故により他人の脳片を移植されることになった主人公。日がたつにつれ、移植された脳が彼の人格を変えていく…、といった物語です。この作品は人格が変わっていく過程が丁寧に描かれていて、ジキル&ハイドとはまた異なった印象を受けますが、良→悪への変身という展開はジキル&ハイドと同じです。最近映画化されましたが、細かい描写がわかる小説がやっぱりおすすめです。